はじめに
ジャーナリングとは、思考と情動を対象とするマインドフルネスのエクササイズであり、自分に向けて書くワークです。
自分の考えをフィルターをかけずに、紙の上にダンプするようなもの。
サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法にて紹介されています。
ジャーナリングの効果とジャーナリングを実践する3つのステップを紹介します。
- ネガテイブな事柄をピックアップして2分書く
- 30秒リラックスする
- その事柄について自分に向けて2分書く
ジャーナリングの効果
ジャーナリングは、1994年と少し前の論文ですが、失業者が職を得るのに効果があったとのこと。
S. P. Spera, E. D. Buhrfend, and J. W. Pennebaker, “Experessive Writing and Coping with Job Loss”, Academy of Management Journals 37(1994)
ステファニー/スペラらは、失業した知的職業人に、5日連続で毎日20分ずつ、自分の気持ちについて自分に向かって書いてもらった。すると、ジャーナリングをしなかった対照群よりも、新しい仕事を見つける率がずっと高かった。
8ヶ月後、彼らの68.4%が就職できたのに対して、対照群の就職率は27.3%にとどまった。この数字に私は仰天した。
サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法
より詳しく見ると、これはコンピュータ・エレクトロニクス関連の大企業でレイオフされた63人を被験者とした実験です。年齢は40歳から68歳で平均年齢は54歳。
41人を職を失った状況におけるトラウマ的な思考や感情を書くグループ1(20人)と、感情や意見は書かずにその日の計画を書くグループ2(21人)でランダムに振り分け、残りの22人はまったく書かないグループ3を比較しています。
そして、雇用支援サービスを受けながら8ヶ月後、トラウマ的な思考や感情、考え方を書いたグループ1の53%はフルタイムの職を得たのに対して、グループ2は24%、グループ3は14%にとどまりました。
100分、自分に向き合って書くだけでこれだけ就職率が違うというのは驚きの結果です。
他にも本書では、大学生49人に、情動的に重大だと思ったことについて二日間連続で2分間書いてもらう実験についても紹介しており、学生たちは書いたあと直ちに気分がよくなり、生理的健康状態の標準測定で成績があがったとのこと。
このように、ジャーナリングは、感情をうまく処理し、自分の考え方を変える効果があります。
ジャーナリングの3つのステップ
ネガテイブな事柄をピックアップして2分書く
難しい状況にネガティブに対応し、結果にとても不満足だった例をひとつピックアップして2分考えましょう。
しくじったこと、やり直せたら良いのにといろいろな思考や感情が出てくるでしょうが、それと向き合います。
もしいくつかの例が出てくる場合は、そこに結びつきやパターンがあるかを考えてみましょう。
30秒リラックスする
少し時間をとって心をリラックスします。
長く吸って長くはくように心を整えたり、身体を伸ばすのもいいでしょう。
その事柄について自分に向けて2分書く
ピックアップした事柄について、2分間、自分に向けて書きます。
- 「私を苛立させるのは…」
- 「私の短所は…」
- 「今、感じているのは…」
- 「私の心を傷つけるのは…」
- 「こうだったらいいなと思っているのは…」
このような話題を見ながら、思考や感情を書いていきます。
その後、時間をかけて書いたものを読んでみましょう。
まとめ
ジャーナリングの効果とジャーナリングを実践する3つのステップについて紹介しました。
- ネガテイブな事柄をピックアップして2分書く
- 30秒リラックスする
- その事柄について自分に向けて2分書く
ジャーナリングは、自分の感情、情動は自分が感じるものに過ぎず、自分そのものではないという客観視のトレーニングになります。
ジャーナリングを実践して、自己認識を深め、感情とうまく付き合う力を伸ばしていきましょう。
ジャーナリングに似たワークとして、モーニングページもあります。
朝一番に、とにかく心の赴くままに、ネガティブなことも含めて自分の頭の中の様々な考えや感情をノートに書き出すというものです。
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