習慣化の科学と技術

HabiTech: 習慣化をアシストする技術

人の日々の行動の45%は習慣として毎日繰り返されているという研究結果があります。

あなたの人生の45%は習慣からできているということです。

しかし、運動や食生活、早起き、学習など身につけたい習慣は3日坊主でなかなか続かないという悩みがあるのではないでしょうか。

また、飲みすぎ・食べすぎ、テレビや動画の見すぎ等のやめたい習慣はなかなかやめられないという問題も抱えているかもしれません。

習慣として行動が続かないのはあなたの意志が弱いからではありません。

マンチェスター大学とシェフィールド大学の論文では意志の変化は必ずしも行動の変化につながらないと述べており、意志を行動に変える技術が重要だと結論付けています。

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習慣化に関しては様々な研究の知見やメソッドが論文や書籍で紹介されています。

学生等の記述式の習慣化の調査において、約45%の日々の行動は、同じ場所でほぼ毎日、繰り返し実行されていることが示されています。行動とは例えば、新聞を読む、運動をする、ファーストフードを食べる等です。

また、習慣化のための手法として、どのような状況で何を実行するかを決めるIf-Thenプランニングは多くの研究で有効性が実証されています。このような手法を取り入れれば上手に新しい習慣を取り入れることができるでしょう。

習慣化アプリラボで紹介しているように、習慣化については、数多くのスマートフォンアプリやツールが提供されています。便利なアプリは、よい習慣を続けること、悪い習慣をやめることを助けてくれることでしょう。

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習慣に関する技術や知見を紹介しつつ、アプリ等のデジタル技術と統合することで、役に立つ、うまくいく習慣化の技術(HabiTech)を創りあげていきます。

習慣が重要な理由

なぜ、良い習慣を続け、悪い習慣を減らしたいのでしょうか?

やりたいことやなりたい自分の姿など、皆、様々な目的あるいは希望、願望を持っていると思います。

  • やりたいことの実現(目標達成)
  • なりたい自分になる(理想のアイデンティティ)
  • ごきげんになる(幸福感の向上)

これらの目的を達成することは一時期だけの努力では難しく、行動を継続して積み重ねていくことが必要となります。

様々な困難や障害を乗り越えて続けるための習慣化の技術が必要です。

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習慣をシステムとして理解し、体系化する

習慣は心理学、行動科学や認知科学など様々な分野に渡っています。

The American Journal of Psychologyの論文”Habit”(1903)では冒頭に、「心理学の見地において、以前からの繰り返しの精神的経験によって獲得されて固定化した思考、意思、感情」と述べています。

また、こちらのサーベイ論文では健康関連の行動における習慣に関する論文を調査しており、8つの論文で共通する習慣の定義として、「意識的な思考なしに、これまで学習された状況と行動の関連性に基づき行動が実行されるプロセスの要素」を習慣といっている点で一致していると報告しています。

Gardner B. A review and analysis of the use of ‘habit’ in understanding, predicting and influencing health-related behaviour. Health Psychol Rev. 2015

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習慣をデジタル技術と統合するにあたっては環境との相互作用や人の反応、行動をシステムとして理解し、体系化します。

Duke Universityの論文では習慣とは、状況的な合図(contexual cue)によって自動的に起こる反応としています。この論文では、習慣化のメカニズムを3つの観点でモデル化しています。

  1. 直接の状況的合図(direct-context-cuing)
  2. 暗黙的な目的(implicit-goal)
  3. 動機付けの状況(motivated-context)

そしてこれらの複数の習慣化のメカニズムが集まって、日々の行動の繰り返しに影響していると述べています。

https://ko-do.design/2020/04/24/habit-repeat-performance/

悪い習慣をやめるには

習慣は状況と反応の結びつきを脳が連想学習したものです。

なかなかやめられない習慣はこの結びつきが非常に強く、無意識的にやってしまうということです。

その状況が起きないよう避けるか、状況に紐づく反応を置き換えることが正しい戦略です。

https://ko-do.design/2020/04/27/break-bad-habit/

応用分野

続けたい習慣、やめたい習慣として生活や運動、学習、人間関係など多様な分野の習慣を扱います。

以下の記事では、生活習慣、運動習慣、学習習慣、娯楽習慣、お金習慣、仕事習慣、交流習慣の7つのジャンルに分けて、その習慣化の目的やニーズについて整理しています。

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習慣化の技術と応用

行動の習慣化プログラミング5つの技術「HABIT」

行動デザインラボでは、それら科学的に効果が実証されている技術を含め、原則となる習慣化プログラミングの技術を5つにまとめ、「HABIT」と名付けました。

  1. 楽しくやる(Happiness)
  2. 今ある習慣に付け加えたり調整する(Adjust) 
  3. 小さくやる(Baby Step)
  4. 状況と行動を決める(If-Then Planning)
  5. 記録する(Tracking)
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If-Thenプランニング

If-Thenプランニングは、①(if)もし、Xだったら、②(then)Yをする というように、どんな行動するかを事前に具体的に決めておく目標達成手法です。

どのような方法かなぜ有効なのか、どう活用できるかを解説します。

https://ko-do.design/2020/03/18/if-then-planning/

If-Thenプランニングの応用についてはこちらの記事をご覧ください。

https://ko-do.design/2020/03/10/post-4937/
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メンタルコントラスト

目標達成の成功と障害をイメージするメンタルコントラストもシンプルで強力なビジュアライゼーションツールです。

多くの研究で実証されている手法で、目標へのコミットメントとモチベーション向上に役立ちます。

https://ko-do.design/2020/03/19/mental-contrast/

習慣の積み上げ

すでに習慣化されていて毎日あるいは定期的に実行していることに、新しい行動を付け加えるという手法。

朝や夜、移動中などにいつもやっていること、習慣化されていることにアドオンしてやると、大きな負担もなく、いつやるのか考える必要なしに行動することができます。

https://ko-do.design/2019/11/21/attach/

同じ状況で繰り返す

習慣化させるには同じ時間、同じ場所など同じ状況で繰り返すことが有効です。

University College Londonの以下の論文では、日常生活での習慣形成プロセスを調査しています。

Lally, P., van Jaarsveld, C.H.M., Potts, H.W.W. and Wardle, J. (2010), How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. Eur. J. Soc. Psychol., 40: 998-1009. https://doi.org/10.1002/ejsp.674

多くの人にとって、毎日、朝食後やランチになど、同じ状況で繰り返し行動を実行するほど自動性が着実に上がっていくことが示されています。

ただし、行動が自動化した状態になるためにかかる時間は18日から254日の幅があり、中央値は66日でした。

コツコツ繰り返すことが重要です。

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手帳やデジタルカレンダーに毎日、その行動を実行するにように予定として組み込むのもいいでしょう。

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小さな習慣にする

今日は、モチベーションが上がらないから、筋トレはやめておこうかな。

モチベーション低いから、ブログを書くのは明日にしよう。

行動するときにモチベーションがないとできないという考え方をしていると、いつまでたっても実行できません。

できないことがないというほどの小さな習慣にし、毎日100%続けることにフォーカスしましょう。

https://ko-do.design/2020/05/23/motivation-minihabits/

習慣化プロセスの実践

記録をとる

理想の1日と、現実の1日を比べるためには何をいつやったのかの行動の記録が必要です。

しかし、行動の記録は結構大変です。

そんな不便に対して、就寝時間と起床時間、通勤・通学時間の3つの主要な行動に絞って記録し、振り返る方法を紹介します。

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振り返る

習慣は一度決めたら同じやり方、ルールでやり続けるというよりも、うまくいったこと、うまくいかないことを振り返り、調整して改善するサイクルを回すものです。

https://ko-do.design/2019/11/05/opdca/

目標は人に言わないでおく

習慣化の目標を周りの人に宣言する際、毎日英語を勉強する、週3日走る、と目標をそのまま言うのは避けたほうが良いと思われます。

その宣言に対して、すごいね、がんばっているね、と認められるだけで満足して行動が伴わない可能性があります。

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思考習慣を知る、変える

「マインドセット」では、硬直マインドセットとしなやかマインドセットという2つの思考スタイルを示しています。

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習慣の名前付けでモチベーションを上げる

習慣化はやることに意味を感じたり、楽しくないと続きません。

習慣タスクの名前付けもひと工夫して習慣化していきましょう。

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習慣化がうまくいかないときに

習慣を続けても結果が出るには時間がかかります。

結果よりも方向やプロセスに目を向けるのがいいでしょう。

日々の習慣のわずかな変化が、人生をまったくちがう目的地へと導きかねない。

1%よくなる選択をするか、1%悪くなる選択をするかは、そのときには些細なことに見えるが、人生という長い期間を送るうちに、この選択こそが、自分の現実の姿と、なり得た姿との違いを決定する。

成功は日々の習慣の産物であり、一生に一度の大転換などではない。

だから今成功しているか、そうでないかは問題ではない。

複利で伸びる1つの習慣
https://ko-do.design/2020/03/11/why-habit/

参考図書

習慣超大全――スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法

原題はTINY HABITS(小さな習慣)。行動の最小化とルーティン化と祝福を駆使しながら、行動の「モチベーション・能力・きっかけ」を調整することで、あらゆる行動を続けることも、悪習慣もやめることもできるというもの。食生活の改善、ダイエット、運動、ストレス軽減などについて、「何らかの変化」は簡単に起こせると説いています。うまくいかないのは変化に向けたアプローチ。「人間の心理に逆らわない手順」、「変化を容易にする工夫」、「推測や誤った原理によらない道具だて」に基づく多様なメソッドが紹介されています。

理想の人生をつくる習慣化大全

習慣化大全という名のとおり習慣化メソッドの決定版。「習慣化を成功させるために大切なのは、習慣化を妨げているボトルネックがどこに存在しているかを把握してアプローチすること」と説いています。習慣化が続かない原因は、実は表層の行動レベルだけでななく、それよりも深い思考や感情、環境に原因があることも。本書では、行動の習慣、思考の習慣、感情の習慣、環境の習慣に関する65個のメソッドが紹介されています。この中のメソッドでやってみたいもの、自分の状況、問題に合っているものを試してみましょう。Audible版も提供されてます。

Atomic Habits: ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣

習慣的行動の1%の改善を積み重ね、着実に成果を出す方法。毎日1%よくなったら1年後には37倍よくなるという複利の効果を説いています。一気に成果を出そうと大きな行動に挑戦しても続きません。ちょっとだけやっても効果はなかなか見えないですし、成果が出るまで時間がかかりますが、複利の考え方で取り組みましょう。

幸せがずっと続く12の行動習慣

本書では幸福は見つけたり、追求するものというよりも、創造する、築くものだと説いています。理由は、私たち自身の中に幸せを作り出す力があることが様々な調査からわかっているから。幸せは小さな行動ですぐに始められるとし、科学的な研究に裏付けされた、根拠のある12の習慣を解説しています。
・感謝の気持ちを表わす、楽観的になる、考えすぎない、他人と比較しない、親切にする
・人間関係を育てる、ストレスや悩みへの対抗策を練る、人を許す、熱中できる活動を増やす
・人生の喜びを深く味わう、目標達成に全力を尽くす、内面的なものを大切にする、身体を大切にする-瞑想と運動

小さな習慣

モチベーションに頼らず、絶対にできる「小さな習慣」にフォーカスする。
「行動するのにモチベーションが必要だと信じることほど、危険な習慣はありません。モチベーションを上げたいと思うこと自体は問題ではないのですが、それがないと何もできないと考えるのは問題です。この考えが行き着く先は、怠け癖のサイクルでしかありません。」モチベーションに頼らず、絶対にできる行動を続けることにフォーカスする。30分の筋トレという目標を立てるのではなく、まず1回の腕立て伏せという目標からはじめる。このような小さな目標であればハードルが高すぎると圧倒されることもなければ、やる前から疲れてしまうこともありません。1回の腕立て伏せであれば時間がなくてできないということもないでしょう。
やりたいことを小さな習慣にブレイクダウンして生活に取り入れていきましょう。

習慣が10割

「人に能力の差はなし。あるのは、習慣の差」だけであり、習慣は人生を通して役立つ最強のスキルと説いています。小さく始める、仕組みを作るなどの習慣化のスキルや挫折しない秘訣などが紹介されています。小さな習慣からはじめて、「自分で決めた約束を守ることができた」という実績を作る。それを1日、1日と続けることで達成感が得られる。この何か1つでも続けられたという記憶が増えれば、別のことをやろうとした時も「自分はできる!」とワクワクしたり、楽しんだりできるようになります。

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