
ワーキングメモリとは
マインドフルネス瞑想は、集中力やワーキングメモリの強化に効果があるといわれています。
ワーキングメモリとは、作業記憶のことであり、よく人が数字や単語を記憶できる量は、5個から7個程度と言われています。
集中力やワーキングメモリも仕事や勉強を含め、日常生活で非常に重要な認知機能です。
ワーキングメモリ(Working Memory)とは認知心理学において、情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念である。作業記憶、作動記憶とも呼ばれる。ワーキングメモリの構造や脳の関連部位を調べる研究が多数行われている。一般には、前頭皮質、頭頂皮質、前帯状皮質、および大脳基底核の一部がワーキングメモリに関与すると考えられている。
マインドフルネス瞑想が、ワーキングメモリ容量を増やす効果があるとしている論文や記事を紹介します。
マインドフルネス瞑想の効果
マインドフルネス瞑想とヨガの比較
こちらの研究は、マインドフルネス瞑想の若者のワーキングメモリ容量への効果を調べています。マインドフルネスと、ハタヨガ(hatha yoga)を比較しています。
Quach D, Jastrowski Mano KE, Alexander K. A Randomized Controlled Trial Examining the Effect of Mindfulness Meditation on Working Memory Capacity in Adolescents. J Adolesc Health. 2016;58(5):489-496. doi:10.1016/j.jadohealth.2015.09.024
米国南西部における公立の中学校の198人の参加者をランダムにグループ分けして実験。ワーキングメモリ容量のコンピュータテストと、ストレスや不安に関するセルフレポートを、前後に実施しました。
その結果、マインドフルネス瞑想についてはワーキングメモリ容量について大幅な向上が見られた一方で、ハタヨガにはその効果が見られなかったとのこと。
ストレスや不安については両方のグループで統計的な差はなかったとのことです。
マインドフルネス瞑想と筋弛緩エクササイズの比較
別の記事でも複数のオブジェクトを追跡するタスクで、34人の被験者による実験の結果が報告されています。

被験者を2つのグループにわけ、”瞑想グループ”は8週間の間、マインドフルネス瞑想を練習し、もう一方のコントロールグループは筋弛緩エクササイズ(muscle relaxation exercices)を行いました。
瞑想グループは8週間の間、1週間に4回程度の瞑想を行ったとのことです。
結果としては、瞑想グループが目標を追跡する精度が約9%上がった一方で、コントロールグループは特に向上がみられなかったとのことです。
これは顕著な変化であると説明しており、マインドフルネス瞑想の集中力とワーキングメモリの向上が示されたとしています。
効果がないとの研究も
なお、マインドフルネス瞑想がワーキングメモリの容量を増やす効果について調べた結果、効果がなかったとする論文もあります。
Baranski, M.F.S., Was, C.A. A More Rigorous Examination of the Effects of Mindfulness Meditation on Working Memory Capacity. J Cogn Enhanc 2, 225–239 (2018). https://doi.org/10.1007/s41465-018-0064-5
実験では、2週間の焦点化注意マインドフルネス瞑想トレーニング(focused attention mindfulness meditation training )と、ワーキングメモリ容量を増やすための認知機能トレーニングを比較しました。
その結果、ワーキングメモリ容量を増やす効果は見られず、今後の研究では、より長い期間の実験や、より頻繁な瞑想、異なるスタイルのマインドフルネス瞑想を考慮すべきと述べています。
まとめ
マインドフルネス瞑想が、ワーキングメモリ容量を増やす効果があるとしている実験を紹介しました。
会話や計算など様々な処理に関係するワーキングメモリ容量を増やすことができれば、仕事や勉強においてのパフォーマンス向上が期待できます。
毎日、マインドフルネス瞑想を続けましょう。
マインドフルネスの効果についてはこちらの記事もご覧ください。