意志力がない状態では誘惑にあらがえない
疲れたり、ストレスにさらされると、誘惑に流されたり、ダラダラから抜け出すことができず、動画を見続けてしまったり、お菓子をばくばく食べてしまったり、お酒を飲みすぎたりとネガティブスパイラルから抜けられなくなります。
これは、自己制御(Self-Regulation)のリソースが枯渇している状態です。
自己制御とは、自分の行動や状態をモニタリングして、その状態と目標とを比較し、違うのであれば調整するようにコントロールすることです。
自己制御リソースは意志力と呼んでもいいでしょう。
この意志力がない状態のため、意志に反して誘惑に流され、やめられないということになります。
習慣と自己制御の関係
以下の論文では、習慣とこの自己制御の関係について述べられています。
Neal, D. T., Wood, W., & Quinn, J. M. (2006). Habits—A Repeat Performance. Current Directions in Psychological Science, 15(4), 198–202.
4日間の日誌研究では、日常生活で利き手を使ってはいけないという制限をして、自己制御のリソースを減らした状態にしました。
このような不便な状態において、被験者は習慣化されていない行動をすることが減りましたが、一方で習慣的な行動は継続できたということです。
つまり、意志力がない状態でも習慣は機能するということ。
ただし、それはジムに行くなど望ましい習慣だけではなく、午後にクリスピークリームドーナツを食べてしまうというような避けたい習慣も同様だったということ。
つまり習慣は自己制御リソースない状態に関して諸刃の剣だということです。
事前の対策が必要
自己制御リソースがなくなると、避けたい習慣的行動にあらがうことができなくなります。
この問題への対策としては以下の2つがあるでしょう。
一つは、意志力が減る状態を避けるために、その日のうちによく休み、疲れをためない、ストレスをためないこと。ただこれは普通に生活しているとちょっとむずかしいかもしれません。
もう一つは、意志力が減った状態の行動のメカニズムを理解し、避けたい行動のキュー(合図)を避けること。
動画をちょっとでも見たり、お菓子を見てしまったらそこから離れたり、途中でやめるのは難しいでしょう。
意志力が減った状態でその意志に頼るのは意味がありません。
意志力がある状態のときに動画アプリやタブを開いたままにしておかない、お菓子を目につくところに置かないなど、意志力が減った状態に備えて、事前に誘惑を取り除いておくという戦略が有効ですね。