「意志が弱いから続かない」は誤解 習慣化を始める際は、今日から運動しよう!、毎日本を読もう!、野菜を食べよう!と自分に宣言しますよね。
そのときはやる気になって、具体的に何をやろう、どんな努力をしたらよいのか等いろいろ考えると思います。
しかし、自分で決めたことのはずなのに、2日、3日立つと続かない。
自分で決めたことなのになぜできないのかと自分を責めたり、自分の意志の弱さがいやになったりしないでしょうか。
実は自分の意志が行動を決めている、というのは誤解です。
意志を変える、思考を変えることは必ずしも行動が変わることを意味しません。
意志の変化と行動の変化の研究 WebbとSheeranのメタアナリシスのレビュー(2006)は、情報提示などの介入方法によって人々の意志を変化させることの、行動の変化に与える効果を比較しています。
Webb, Thomas & Sheeran, Paschal. (2006). Does Changing Behavioral Intentions Engender Behavior Change? A Meta-Analysis of the Experimental Evidence. Psychological bulletin. 132. 249-68. 10.1037/0033-2909.132.2.249.
47の実験の結果を集めて解析した結果、中〜大の意図の変化(d=0.66)は、小から中の行動の変化(d=0.36)にしかつながらなかったと述べています。
参加者が行動をコントロールできない状況や、他者からの反応がある状況等においては、意図が行動に与える影響は少ないとのことです。
つまり、意志を変えることを頑張るだけでなく、意志を行動に変えることを促進すべきと結論づけています。
例えば、If-Thenプランニングは意志を行動に変換する手法です。
https://ko-do.design/2020/03/18/if-then-planning/
習慣化の技術を活用する 意志が弱いからできないと考えるのはやめましょう。
続かないとしたら、やり方がよくなかっただけです。
意志を行動に変える工夫をしていきましょう。
こちらのページで様々な習慣化において使える技術を紹介しています。
ぜひご覧ください。
https://ko-do.design/habitapp/
参考書籍 習慣超大全――スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法
原題はTINY HABITS(小さな習慣)。行動の最小化とルーティン化と祝福を駆使しながら、行動の「モチベーション・能力・きっかけ」を調整することで、あらゆる行動を続けることも、悪習慣もやめることもできるというもの。食生活の改善、ダイエット、運動、ストレス軽減などについて、「何らかの変化」は簡単に起こせると説いています。うまくいかないのは変化に向けたアプローチ。「人間の心理に逆らわない手順」、「変化を容易にする工夫」、「推測や誤った原理によらない道具だて」に基づく多様なメソッドが紹介されています。
習慣化大全という名のとおり習慣化メソッドの決定版。「習慣化を成功させるために大切なのは、習慣化を妨げているボトルネックがどこに存在しているかを把握してアプローチすること」と説いています。習慣化が続かない原因は、実は表層の行動レベルだけでななく、それよりも深い思考や感情、環境に原因があることも。本書では、行動の習慣、思考の習慣、感情の習慣、環境の習慣に関する65個のメソッドが紹介されています。この中のメソッドでやってみたいもの、自分の状況、問題に合っているものを試してみましょう。Audible版も提供されてます。
Atomic Habits: ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣
習慣的行動の1%の改善を積み重ね、着実に成果を出す方法。毎日1%よくなったら1年後には37倍よくなるという複利の効果を説いています。一気に成果を出そうと大きな行動に挑戦しても続きません。ちょっとだけやっても効果はなかなか見えないですし、成果が出るまで時間がかかりますが、複利の考え方で取り組みましょう。
本書では幸福は見つけたり、追求するものというよりも、創造する、築くものだと説いています。理由は、私たち自身の中に幸せを作り出す力があることが様々な調査からわかっているから。幸せは小さな行動ですぐに始められるとし、科学的な研究に裏付けされた、根拠のある12の習慣を解説しています。 ・感謝の気持ちを表わす、楽観的になる、考えすぎない、他人と比較しない、親切にする ・人間関係を育てる、ストレスや悩みへの対抗策を練る、人を許す、熱中できる活動を増やす ・人生の喜びを深く味わう、目標達成に全力を尽くす、内面的なものを大切にする、身体を大切にする-瞑想と運動
モチベーションに頼らず、絶対にできる「小さな習慣」にフォーカスする。 「行動するのにモチベーションが必要だと信じることほど、危険な習慣はありません。モチベーションを上げたいと思うこと自体は問題ではないのですが、それがないと何もできないと考えるのは問題です。この考えが行き着く先は、怠け癖のサイクルでしかありません。」モチベーションに頼らず、絶対にできる行動を続けることにフォーカスする。30分の筋トレという目標を立てるのではなく、まず1回の腕立て伏せという目標からはじめる。このような小さな目標であればハードルが高すぎると圧倒されることもなければ、やる前から疲れてしまうこともありません。1回の腕立て伏せであれば時間がなくてできないということもないでしょう。 やりたいことを小さな習慣にブレイクダウンして生活に取り入れていきましょう。
「人に能力の差はなし。あるのは、習慣の差」だけであり、習慣は人生を通して役立つ最強のスキルと説いています。小さく始める、仕組みを作るなどの習慣化のスキルや挫折しない秘訣などが紹介されています。小さな習慣からはじめて、「自分で決めた約束を守ることができた」という実績を作る。それを1日、1日と続けることで達成感が得られる。この何か1つでも続けられたという記憶が増えれば、別のことをやろうとした時も「自分はできる!」とワクワクしたり、楽しんだりできるようになります。