頑固なやめたい習慣をプログラミング:状況と反応の結びつけを断ち切る

やめたい習慣がやめられない理由

コンビニにいくとお菓子をたくさん買ってしまう。

ネットでセールを見るとつい衝動買してしまう。

休憩のときに、すぐにSNSをチェックしてしまう。

このようなやめたい習慣はなかなかやめられないという問題も抱えているかもしれません。

やめたい習慣も、ストレスを緩和したり、刺激をくれたりと様々な報酬があります。状況と行動が紐付いて連想学習がなされ、自動的に反応するように脳がプログラミングされてしまっています。

以下の記事で、習慣化のメカニズムとして心理科学の3つのモデルを解説しました。

https://ko-do.design/2020/04/24/habit-repeat-performance/

このメカニズムを踏まえた上でどのようにやめたい行動の習慣をプログラミングし直すことができるのか?

習慣は、その行動を実行する状況に大きく影響を受けています。

この状況を理解し、コントロールすることがキーとなります。

習慣は状況に大きく影響されている

Duke大学のWoodらは大学生が新しい大学に編入する際、運動、新聞を読む、TVを見るという習慣的行動がどのように変化するかを調べました。

Wood, Wendy, Leona Tam and Melissa Guerrero Witt. “Changing circumstances, disrupting habits.” Journal of personality and social psychology 88 6 (2005): 918-933 .

新しい大学に編入することで、状況が変化します。

状況は具体的には、その行動を実行する場所、その行動を一人でやるのか他の人とやるのか、ルームメートがその行動をしているかどうかです。

115名の学生(男性57名、女性58名)について編入1ヶ月前と編入後1ヶ月後でデータを取得しています。

結果ですが、編入によっても運動をする状況が変わらなかった学生は、運動をしようという意図のあるなしに関わらず、その習慣を続けられました。

一方、編入によって運動をする状況が変わってしまった学生は、強固な運動習慣のための自動的なキュー(合図)がなくなってしまい、運動をやろうという意志があるときのみ運動をするようになったということです。

つまり、状況の変化は、強固な習慣を壊し、行動は意志のコントロールに委ねられるということです。

一方、弱い習慣については状況の変化の影響は少なく、意志に左右されます。

状況と反応の結びつきを断ち切る

これらを踏まえると、習慣的行動を変える戦略は、①キューとなる状況の刺激をコントロールすることと、②キューとなる状況に対する反応を置き換えることの2つとなります。

①キューとなる状況の刺激をコントロール

①は具体的には、その状況の刺激を受けないように避けたり、減らします。

「コンビニにいくとお菓子をたくさん買ってしまう」という習慣をやめたいのであれば、コンビニのそばを通らない、というのが対策になります。コンビニに行くという状況にならなければ、キューは発生しません。

また、「ネットでセールを見るとつい衝動買してしまう」という習慣については、例えば洋服のセールのメルマガを受信しないよう解除する、あるいは受信してもそのままアーカイブして見えないようにするというのが効果的です。

セールのメルマガという刺激を受けなければ衝動買いの行動は起きません。

②キューとなる状況に対する反応を置き換える

②はそのキューに対して競合する別の行動をリンクするということです。

「休憩のときに、すぐにSNSをチェックしてしまう」という習慣については、休憩のときに水を飲む、ストレッチをする、外の空気を吸う、本を読む等別の行動を繰り返して状況と反応の結びつきを弱めていきます。

まとめ

習慣は状況と反応の結びつきを脳が連想学習したもの。

なかなかやめられない習慣はこの結びつきが非常に強く、無意識的にやってしまうということです。

その状況が起きないよう避けるか、状況に紐づく反応を置き換えることが正しい戦略です。

技術で、やめたい習慣をプログラミングし直しましょう。

参考書籍もご覧ください。

習慣超大全――スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法

原題はTINY HABITS(小さな習慣)。行動の最小化とルーティン化と祝福を駆使しながら、行動の「モチベーション・能力・きっかけ」を調整することで、あらゆる行動を続けることも、悪習慣もやめることもできるというもの。食生活の改善、ダイエット、運動、ストレス軽減などについて、「何らかの変化」は簡単に起こせると説いています。うまくいかないのは変化に向けたアプローチ。「人間の心理に逆らわない手順」、「変化を容易にする工夫」、「推測や誤った原理によらない道具だて」に基づく多様なメソッドが紹介されています。

理想の人生をつくる習慣化大全

習慣化大全という名のとおり習慣化メソッドの決定版。「習慣化を成功させるために大切なのは、習慣化を妨げているボトルネックがどこに存在しているかを把握してアプローチすること」と説いています。習慣化が続かない原因は、実は表層の行動レベルだけでななく、それよりも深い思考や感情、環境に原因があることも。本書では、行動の習慣、思考の習慣、感情の習慣、環境の習慣に関する65個のメソッドが紹介されています。この中のメソッドでやってみたいもの、自分の状況、問題に合っているものを試してみましょう。Audible版も提供されてます。

Atomic Habits: ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣

習慣的行動の1%の改善を積み重ね、着実に成果を出す方法。毎日1%よくなったら1年後には37倍よくなるという複利の効果を説いています。一気に成果を出そうと大きな行動に挑戦しても続きません。ちょっとだけやっても効果はなかなか見えないですし、成果が出るまで時間がかかりますが、複利の考え方で取り組みましょう。

幸せがずっと続く12の行動習慣

本書では幸福は見つけたり、追求するものというよりも、創造する、築くものだと説いています。理由は、私たち自身の中に幸せを作り出す力があることが様々な調査からわかっているから。幸せは小さな行動ですぐに始められるとし、科学的な研究に裏付けされた、根拠のある12の習慣を解説しています。
・感謝の気持ちを表わす、楽観的になる、考えすぎない、他人と比較しない、親切にする
・人間関係を育てる、ストレスや悩みへの対抗策を練る、人を許す、熱中できる活動を増やす
・人生の喜びを深く味わう、目標達成に全力を尽くす、内面的なものを大切にする、身体を大切にする-瞑想と運動

小さな習慣

モチベーションに頼らず、絶対にできる「小さな習慣」にフォーカスする。
「行動するのにモチベーションが必要だと信じることほど、危険な習慣はありません。モチベーションを上げたいと思うこと自体は問題ではないのですが、それがないと何もできないと考えるのは問題です。この考えが行き着く先は、怠け癖のサイクルでしかありません。」モチベーションに頼らず、絶対にできる行動を続けることにフォーカスする。30分の筋トレという目標を立てるのではなく、まず1回の腕立て伏せという目標からはじめる。このような小さな目標であればハードルが高すぎると圧倒されることもなければ、やる前から疲れてしまうこともありません。1回の腕立て伏せであれば時間がなくてできないということもないでしょう。
やりたいことを小さな習慣にブレイクダウンして生活に取り入れていきましょう。

習慣が10割

「人に能力の差はなし。あるのは、習慣の差」だけであり、習慣は人生を通して役立つ最強のスキルと説いています。小さく始める、仕組みを作るなどの習慣化のスキルや挫折しない秘訣などが紹介されています。小さな習慣からはじめて、「自分で決めた約束を守ることができた」という実績を作る。それを1日、1日と続けることで達成感が得られる。この何か1つでも続けられたという記憶が増えれば、別のことをやろうとした時も「自分はできる!」とワクワクしたり、楽しんだりできるようになります。

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