
やめたい習慣がやめられない理由
コンビニにいくとお菓子をたくさん買ってしまう。
ネットでセールを見るとつい衝動買してしまう。
休憩のときに、すぐにSNSをチェックしてしまう。
このようなやめたい習慣はなかなかやめられないという問題も抱えているかもしれません。
やめたい習慣も、ストレスを緩和したり、刺激をくれたりと様々な報酬があります。状況と行動が紐付いて連想学習がなされ、自動的に反応するように脳がプログラミングされてしまっています。
以下の記事で、習慣化のメカニズムとして心理科学の3つのモデルを解説しました。
このメカニズムを踏まえた上でどのようにやめたい行動の習慣をプログラミングし直すことができるのか?
習慣は、その行動を実行する状況に大きく影響を受けています。
この状況を理解し、コントロールすることがキーとなります。
習慣は状況に大きく影響されている
Duke大学のWoodらは大学生が新しい大学に編入する際、運動、新聞を読む、TVを見るという習慣的行動がどのように変化するかを調べました。
Wood, Wendy, Leona Tam and Melissa Guerrero Witt. “Changing circumstances, disrupting habits.” Journal of personality and social psychology 88 6 (2005): 918-933 .
新しい大学に編入することで、状況が変化します。
状況は具体的には、その行動を実行する場所、その行動を一人でやるのか他の人とやるのか、ルームメートがその行動をしているかどうかです。
115名の学生(男性57名、女性58名)について編入1ヶ月前と編入後1ヶ月後でデータを取得しています。
結果ですが、編入によっても運動をする状況が変わらなかった学生は、運動をしようという意図のあるなしに関わらず、その習慣を続けられました。
一方、編入によって運動をする状況が変わってしまった学生は、強固な運動習慣のための自動的なキュー(合図)がなくなってしまい、運動をやろうという意志があるときのみ運動をするようになったということです。
つまり、状況の変化は、強固な習慣を壊し、行動は意志のコントロールに委ねられるということです。
一方、弱い習慣については状況の変化の影響は少なく、意志に左右されます。
状況と反応の結びつきを断ち切る
これらを踏まえると、習慣的行動を変える戦略は、①キューとなる状況の刺激をコントロールすることと、②キューとなる状況に対する反応を置き換えることの2つとなります。
①キューとなる状況の刺激をコントロール
①は具体的には、その状況の刺激を受けないように避けたり、減らします。
「コンビニにいくとお菓子をたくさん買ってしまう」という習慣をやめたいのであれば、コンビニのそばを通らない、というのが対策になります。コンビニに行くという状況にならなければ、キューは発生しません。
また、「ネットでセールを見るとつい衝動買してしまう」という習慣については、例えば洋服のセールのメルマガを受信しないよう解除する、あるいは受信してもそのままアーカイブして見えないようにするというのが効果的です。
セールのメルマガという刺激を受けなければ衝動買いの行動は起きません。
②キューとなる状況に対する反応を置き換える
②はそのキューに対して競合する別の行動をリンクするということです。
「休憩のときに、すぐにSNSをチェックしてしまう」という習慣については、休憩のときに水を飲む、ストレッチをする、外の空気を吸う、本を読む等別の行動を繰り返して状況と反応の結びつきを弱めていきます。
まとめ
習慣は状況と反応の結びつきを脳が連想学習したもの。
なかなかやめられない習慣はこの結びつきが非常に強く、無意識的にやってしまうということです。
その状況が起きないよう避けるか、状況に紐づく反応を置き換えることが正しい戦略です。
技術で、やめたい習慣をプログラミングし直しましょう。
参考書籍もご覧ください。