はじめに
ついついチョコレートやクッキー、ケーキなど甘いお菓子を食べてしまう。
ジュースやコーラ、甘い缶コーヒーなど清涼飲料水を飲んでしまう。
もっとヘルシーな食生活の選択をしたいと思っている方、多いのではないでしょうか。
人は何かを選ぶとき、その中身だけでなく、「選びやすいから」、「そこにあるから」という理由で選ぶ傾向があります。
マサチューセッツ総合病院のカフェテリアでのヘルシーなフード、飲料の選択に関する実験を紹介します。
フード・飲料の選択の構成に関する実験
病院のカフェテリアにおいて、「色ラベル」をつける介入と「選択の構成」を変えるという介入の2つのフェーズからなる6ヶ月に渡る実験がされました。
論文はこちらです。
Anne N. Thorndike et al., “A 2‐Phase Labeling and Choice Architecture Intervention to Improve Healthy Food and Beverage Choices,” American Journal of Public Health 102, no. 3 (2012), doi:10.2105/ajph.2011.300391.
フェーズ1ではカフェテリアのフードやドリンクの商品のメニューボードや棚、パッケージにヘルシーさを示す色ラベルを付与しました。
赤いラベルは不健康、黄色ラベルはちょっとヘルシー、緑ラベルはヘルシーという具合です。
そして、フェーズ2では、ヘルシーな緑ラベルの商品をよく見える場所に置き、どこででも手に入るようにしました。
以下はミネラルウォーターの配置についての図です。
aはベースラインとフェーズ1における配置で、黒い箱はミネラルウォーターが入った冷蔵庫、グレーの箱はミネラルウォーターが入っていない冷蔵庫です。
bはフェーズ2の環境ですが、ミネラルウォーターが多くの冷蔵庫で入っています。
さらに黒丸はミネラルウォーターのバスケットになりますが、目につく場所に置かれています。
介入する前には売れた商品の25%が赤ラベル、42%が緑ラベルという結果でした。
それが実験の結果、赤ラベルの商品の販売数は、フェーズ1,2の両方で減りました。
また、緑ラベルの商品はフェーズ1で増加しました。
特に飲料の販売数は大きく変化し、炭酸飲料のような赤ラベルの飲料はフェーズ1で16.5%減少し、フェーズ2でさらに11.4%減少しました。
また、緑ラベルの飲料はフェーズ1で9.6%増加し、フェーズ2では4%増加しました。
中でもミネラルウォーターはフェーズ2で26%増加したとのことです。
露出を増やすという環境を変えるだけで、これだけ人の選択が影響を受けるという興味深い実験です。
まとめ
マサチューセッツ総合病院のカフェテリアにおける「ヘルシーなフード、飲料の選択」に関する実験を紹介しました。
人はラベルのような手がかりがあればヘルシーな商品を選ぶことができ、ヘルシーな商品が目についたり、すぐに手にとることができればそちらを選ぶことが多くなります。
自分の選びたいものを選びやすくするように、自分で環境をコントロールしましょう。
こちらの記事では、水を飲む習慣のメリットとその方法について紹介しています。
コツは、机の上にグラスやボトルを置いておくこと。
つまり、常に水が目に入り、すぐに水を飲める環境にすることです。