
はじめに
良い習慣をがんばらずに楽に自然に習慣化できるといいですよね。
場所と行動を結びつけることで習慣化しやすくなります。
Duke Universityの論文では習慣とは、状況的な合図(contexual cue)によって自動的に起こる反応としています。
この仕組みを活用して、自分の身の回りの空間の「状況的な合図」をデザインすることで習慣化しやすくすることができるでしょう。
この状況的な合図をデザインしている例として、メンフィス大学の刺激コントロールセラピー(Stimulus control therapy)に関する実験を紹介します。
刺激コントロールに関する実験
実験としては、21人の投薬治療を受けている不眠症患者のうち11人のグループは睡眠薬を減らすプログラムのみ、残りの10人のグループは睡眠薬を減らすプログラムと刺激コントロールセラピーの両方を受けました。
刺激コントロールセラピーとは、ベッドや寝室と睡眠を関連付け、一貫した就寝・起床スケジュールをつくるようにデザインされたプログラムです。
具体的には以下の4つをやります。
- 眠くなったときにだけベッドにいくこと
- 眠れないときにはベッドから出ること
- ベッドや寝室は寝ることのみに利用すること(読書やテレビを見ることはしない)
- 毎日同じ時間に起きること
眠れないときにはベッドから出るというのは結構大変ですが、ベッドは寝るところという結びつけをするわけですね。
結果ですが、まずはプログラム開始から8週間のフォローアップまでで、睡眠の質や不安、落ち込みなどの悪影響なしに薬を減らすことができました。
そして刺激コントロールの効果ですが、刺激コントロールを受けたグループはトータルの睡眠時間、睡眠効率、睡眠品質の点で大きく改善したとのこと。さらに、睡眠薬を減らしただけのグループよりも、日中の眠気が減ったとレポートしました。
つまり、患者は、ベッドや寝室という場所とよく眠るという行動の結びつけができて、よい睡眠習慣をつくることができたということです。
詳しくは論文をご覧ください。
Riedel B, Lichstein KL, Peterson BA, Means MK, Epperson MT, Aguillarel RN. A comparison of the efficacy of stimulus control for medicated and nonmedicated insomniacs. Behav Modif 1998;22:3- 28
場所と行動を結びつけて習慣化する
この場所と行動の結びつけはいろいろな場面や習慣に応用できるのではないでしょうか。
例えば在宅勤務でなかなか集中ができず脱線してしまうという悩みに対して、机の使い方を以下のように変えることで、机を仕事や勉強という行動と結びつけることができるでしょう。
- 仕事や勉強をするとは机に向かう
- 休憩するときは机から離れる
- 机は仕事や勉強にのみに利用する
- 毎日同じ時間に机に向かう
休憩したくなったら机から離れてソファなどに移動して本を読んだり、スマホで動画を見たりと休憩する場所と分ける。
どんな習慣を場所と結びつけるとうまくいきそうでしょうか?
ぜひ刺激コントロールを活用していい習慣を身につけましょう。