はじめに
運動や瞑想、学習。
習慣にしたい行動を始めて、これは習慣化できたなと気づくタイミングはありますでしょうか。
また、どれくらいの日数、続いた時に習慣化できたと思いますか。
一方で、行動始めてもなかなか苦しく、続かない時には一体何日頑張ったら無意識に実行できるのか考えることがあるかもしれません。
習慣化するにはどれくらいの日数かかるのか?、を実験で調査した論文を紹介します。
習慣化するにはどれくらいの日数かかるのか?
英国のUniversity College Londonの以下の論文では、日常生活での習慣形成プロセスを調査しています。
Lally, P., van Jaarsveld, C.H.M., Potts, H.W.W. and Wardle, J. (2010), How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. Eur. J. Soc. Psychol., 40: 998-1009. https://doi.org/10.1002/ejsp.674
実験手法
実験では、96人のボランティアが参加し、最初の個別のミーティングにおいて12週間、朝食後など毎日同じ状況でやる行動を決めました。
参加者は男性30人、女性66人で、ほぼ大学院生です。
12週間の参加にあたっては30ポンドが提供されていますが、これは行動を変容させたり、習慣化するということを条件としているのではなく、あくまで12週間フルに参加することに対しての謝礼です。
参加者が選ぶ毎日やる行動は自分自身が習慣にしたいことで、例えば、健康的な食事や健康的な飲み物、運動エクササイズです。
ただし、①すでにやっていることではないこと、②日々のイベント(キュー、合図)に応じて実行されること、③毎日、1日に1回だけそのイベント(キュー、合図)が起きることという条件がつけられています。
参加者が決めた行動としては、ランチにフルーツを一切れ食べる、ランチの時に水を一瓶飲む、夕食の前に15分走るというようなもの。27人が健康的な食事、31人が飲む行動、34人が運動、残りの4人は瞑想などそれ以外のもの。
毎日、実験のWebサイトにアクセスして、前日にその行動をやったかどうか、そして、その行動が習慣化されたかのレポート(SRHI: Self-Report Habit Index)を記入します。
レポートするのを忘れた場合は3日前までさかのぼってその行動をやったかどうかを記入するのはOKとされていますが、SRHIはさかのぼっての記入はNGという運用。
SRHIは12の質問からなるアンケートで、7段階のリッカート尺度となっています。
スコアが高いほど習慣化の強度が上がっていることを示し、質問としては「自動的にやっている」や「無意識に実行している」、「やらないのが難しい」というもの。
結果
なお14人が60日を越えられず実験からドロップ。82人が続いたとのこと。
さて、結果として習慣化にはどれだけ日数がかかったのでしょうか。
モデルがよくフィットした39人について、行動が自動化した状態になるためにかかる時間は18日から254日の幅があり、中央値は66日でした。
自動化に到達するまでの日数は人によって大きな差があり、それはとても長い期間になるということが示されています。
ただし、いいニュースとしては、行動を一回やらなかったからといって、習慣の形成プロセスに実質的な影響はないとのこと。
一度や二度、できなかったからといって自分を責める必要はなく、また行動すれば良いということです。
まとめ
習慣化するにはどれくらいの日数かかるのか?という問いについて、実験での調査の結果としては18日から254日の幅がありました。
ただし、多くの人にとって、毎日同じ状況で繰り返し行動を実行するほど自動性が着実に上がっていくことが示されています。
やはり継続することが大事。
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