目標に向けて行動を続けるには
ダイエット、運動、学習など続けたい習慣には、何キロまで痩せたい、マラソン大会に出たい、TOEICの点数を上げたい、など目標があるでしょう。
その目標を達成するためには、短期間でがっと頑張れば達成できるものではなく、ある程度の期間、食生活を変えたり、走ったり、勉強したりと具体的な行動を続ける必要があります。
その行動を実行する確率を上げる方法として、「If-Thenプランニング」をざっくり解説します。
If-Thenプランニングは、Columbia大学モチベーション・サイエンス・センター副所長のHeidi Grant Halvorson教授の著書である、「やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学」」で紹介されている目標達成手法です。
If-Thenプランニングは論文では、Implementation Intentionsと呼ばれています。
①(if)もし、Xだったら、②(then)Yをする というように、どんな行動するかを事前に具体的に決めておくものです。
ダイエットからフィットネス、そして交渉から時間管理に至るまで、これまでの何百もの研究成果の蓄積から、はっきり分かったことがあります。
それは「どんな行動をするかを事前に具体的に決めておく」ことで、それが実行される確率が高まるということです。
ただ決めるのではなく、事前に「いつ」「何を」やるかをはっきりと決めておくーこれで実行できる確率は2倍から3倍も高くなります。
例えば「16時になったら、何があっても、今日かけるべき電話はすべてかける」といったように決めるのです。
やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学」
具体的には、下の図のように、例えば(If)朝起きたら、(Then)水を一杯飲む、というように自分の中でルールを決めます。
その際、自分の頭の中でその状況、行動をイメージします。
(if)の部分は15:00になったらというように時間でもよいですし、朝起きたらというような行動を設定することもできます。
また、イラッとしたらという感情や、オフィスやキッチンに行ったらなど場所を設定することもできます。
このIf-Thenのルールを覚えておいて実行し、習慣づけるためにもそのifの状況はよく起こることのほうがよいでしょう。
目標達成を阻むパターンと対策
このIf-Thenプランニングの手法は、94件の論文をメタ分析した論文でも 高い効果量が示されています。これは、ニューヨーク大学のPeter Gollwitzer教授らによる論文です。
Gollwitzer, Peter & Sheeran, Paschal. (2006). Implementation Intentions and Goal Achievement: A Meta-Analysis of Effects and Processes. First publ. in: Advances in Experimental Social Psychology 38 (2006), pp. 69-119. 38. 10.1016/S0065-2601(06)38002-1.
目標としては以下のようなものが含まれています。
- 新年の目標など個人的な目標、
- オーガニック食品の購入、スナックを食べる量を減らす、エクササイズなど健康に関する目標
- リサイクルや公共交通機関の利用など環境に関する目標
- レポートを書く、履歴書を書く、本を読む等の学術的目標
- はがきを書く、協調するなど社会的目標
論文によると目標達成を阻む4つのパターンがあります。
- 1.はじめるときにつまずく(Failing to get started)
- 2. 脱線する(Getting derailed)
- 3. 固執しすぎる(Not calling a halt)
- 4. 自己の限度を超えてしまう(Overextending oneself)
If-Thenプランニングはこの4つのパターンへの対策として有効に働きます。
- 1.はじめるときにつまずく(Failing to get started)
- 行動を覚えておく、機会をとらえる、気が進まないことを乗り越える
- 2. 脱線する(Getting derailed)
- 避けたいものに注意を向けない、反応しない、自己消耗を阻止する
- 3. 固執しすぎる(Not calling a halt)
- フィードバックに応じて別の戦略に移る
- 4. 自己の限度を超えてしまう(Overextending oneself)
- 自己統制力を節約する
If-Thenプランニングが有効な理由
If Thenプランニングが有効な理由はIf部分とThen部分にあります。
If部分については、上図に示すように、あらかじめ脳が行動を実行する状況をイメージすることで、その場面になった時に機会を逃さなくなる効果があります。
この状況のイメージがないと、脳は能動的にその行動を実行する機会を探さなくてはならなくなり負担がかかります。
Then部分については、行動を決めることで自動化モードに切り替えることができるという効果があります。
モードが切り替わることで、躊躇から即時へ、努力から効率へ、意識的から無意識へと行動が自動化されます。
まとめ
If-Thenプランニングとはどんなものか、それがどう働くのか、そしてそれが有効な理由についてざっくり解説しました。
If-Thenプランニングは多くの研究で有効性が示されているお墨付きの手法で、シンプルですぐに実行できると思います。
ぜひ、あなたのやりたい習慣や達成したい目標に合わせて、Ifの状況とThenの行動を決め、あなたのライフスタイルに合わせたオリジナルのIf-Thenを作り、実践してみてください。
参考書籍もご覧ください。