続けるための習慣化のメカニズムとは?心理科学の3つのモデルを解説。

はじめに

習慣にしたい行動があるがなかなかできない、続かないという問題に対して、どうやったらその成功率を上げられるのか、努力や忍耐なしにやることができるのかその秘訣をしりたいですよね。

習慣化のメカニズムを理解できれば、自分が今抱えている問題に対して、どうやるとうまくいくのかアイデアも出てくるかもしれません。

習慣化のメカニズム

Duke Universityの以下の論文では習慣とは、状況的な合図(contexual cue)によって自動的に起こる反応としています。

Neal, D. T., Wood, W., & Quinn, J. M. (2006). Habits—A Repeat Performance. Current Directions in Psychological Science, 15(4), 198–202.

学生やあるコミュニティの参加者での記述式の調査において、約45%の日々の行動は、同じ場所でほぼ毎日、繰り返し実行されているということです。

それは新聞を読む、運動をする、ファーストフードを食べる等の行動です。

過去には習慣のメカニズムはシンプルな刺激と反応の関係で説明されていて、そこにメンタル的な要素はなかったのですが、今では意識や目的、動機付けの状態なども重要な役割を担っているとされています。

この論文では、習慣化のメカニズムを3つの観点でモデル化しています。

  1. 直接の状況的合図(direct-context-cuing)
  2. 暗黙的な目的(implicit-goal)
  3. 動機付けの状況(motivated-context)

そしてこれらの複数の習慣化のメカニズムが集まって、日々の行動の繰り返しに影響していると述べています。

特に1.直接の状況的合図モデルと3.動機付けの状況モデルは多くのケースに影響しているとのこと。

一方、2.暗黙的な目的も一部のケースでは間違いなく寄与していると述べています。

直接の状況的合図モデル

これは繰り返しの実行により、状況と反応の直接的なリンクを記憶の中に作り上げていくものです。

いわゆる連想的学習(associative learning)です。このリンクが作られると、ある状況を知覚した時、連想された反応が引き起こされます。

暗黙的な目的モデル

先に述べた連想的学習は、状況と反応の結びつけだけでなく、状況と目的の結びつけもあります。

暗黙的な目標モデルは、何かの目的のために、ある状況で特定の行動を繰り返すことで習慣が作られるというものです。

動機付けの状況モデル

このモデルは、ある状況で過去に報酬を得たときに、その状況は動機づけを獲得するというものです。

これにより、ある状況になったときに、特定の目的がなくとも、連想された反応が活性化されます。

まとめ

習慣化のメカニズムとして、直接の状況的合図モデル、暗黙的な目的モデル、動機付けの状況モデルの3つを解説しました。

状況的な合図(contexual cue)が起きたときに、これらの複数のモデルのメカニズムのもと、自動的な反応としての行動が起きるということです。

そのため、習慣化したい行動については、キュー(合図)と反応の結びつきを強化するためにできるだけ同じ状況で同じ行動を実行するということが有効でしょう。

また、その状況においてその行動を仕向ける動機付けのために、適切な報酬を与えるようにすることが有効です。

これらの知見を活用して、努力や忍耐を最小限に習慣化させたいですね。

参考書籍もご覧ください。

習慣超大全――スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法

原題はTINY HABITS(小さな習慣)。行動の最小化とルーティン化と祝福を駆使しながら、行動の「モチベーション・能力・きっかけ」を調整することで、あらゆる行動を続けることも、悪習慣もやめることもできるというもの。食生活の改善、ダイエット、運動、ストレス軽減などについて、「何らかの変化」は簡単に起こせると説いています。うまくいかないのは変化に向けたアプローチ。「人間の心理に逆らわない手順」、「変化を容易にする工夫」、「推測や誤った原理によらない道具だて」に基づく多様なメソッドが紹介されています。

理想の人生をつくる習慣化大全

習慣化大全という名のとおり習慣化メソッドの決定版。「習慣化を成功させるために大切なのは、習慣化を妨げているボトルネックがどこに存在しているかを把握してアプローチすること」と説いています。習慣化が続かない原因は、実は表層の行動レベルだけでななく、それよりも深い思考や感情、環境に原因があることも。本書では、行動の習慣、思考の習慣、感情の習慣、環境の習慣に関する65個のメソッドが紹介されています。この中のメソッドでやってみたいもの、自分の状況、問題に合っているものを試してみましょう。Audible版も提供されてます。

Atomic Habits: ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣

習慣的行動の1%の改善を積み重ね、着実に成果を出す方法。毎日1%よくなったら1年後には37倍よくなるという複利の効果を説いています。一気に成果を出そうと大きな行動に挑戦しても続きません。ちょっとだけやっても効果はなかなか見えないですし、成果が出るまで時間がかかりますが、複利の考え方で取り組みましょう。

幸せがずっと続く12の行動習慣

本書では幸福は見つけたり、追求するものというよりも、創造する、築くものだと説いています。理由は、私たち自身の中に幸せを作り出す力があることが様々な調査からわかっているから。幸せは小さな行動ですぐに始められるとし、科学的な研究に裏付けされた、根拠のある12の習慣を解説しています。
・感謝の気持ちを表わす、楽観的になる、考えすぎない、他人と比較しない、親切にする
・人間関係を育てる、ストレスや悩みへの対抗策を練る、人を許す、熱中できる活動を増やす
・人生の喜びを深く味わう、目標達成に全力を尽くす、内面的なものを大切にする、身体を大切にする-瞑想と運動

小さな習慣

モチベーションに頼らず、絶対にできる「小さな習慣」にフォーカスする。
「行動するのにモチベーションが必要だと信じることほど、危険な習慣はありません。モチベーションを上げたいと思うこと自体は問題ではないのですが、それがないと何もできないと考えるのは問題です。この考えが行き着く先は、怠け癖のサイクルでしかありません。」モチベーションに頼らず、絶対にできる行動を続けることにフォーカスする。30分の筋トレという目標を立てるのではなく、まず1回の腕立て伏せという目標からはじめる。このような小さな目標であればハードルが高すぎると圧倒されることもなければ、やる前から疲れてしまうこともありません。1回の腕立て伏せであれば時間がなくてできないということもないでしょう。
やりたいことを小さな習慣にブレイクダウンして生活に取り入れていきましょう。

習慣が10割

「人に能力の差はなし。あるのは、習慣の差」だけであり、習慣は人生を通して役立つ最強のスキルと説いています。小さく始める、仕組みを作るなどの習慣化のスキルや挫折しない秘訣などが紹介されています。小さな習慣からはじめて、「自分で決めた約束を守ることができた」という実績を作る。それを1日、1日と続けることで達成感が得られる。この何か1つでも続けられたという記憶が増えれば、別のことをやろうとした時も「自分はできる!」とワクワクしたり、楽しんだりできるようになります。

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